推しの話してたら、気づいたら推されてた件
「私、どう考えても陰キャなんだよね」が口癖の高校2年生・さゆきは、自称「限界VTuberオタク」。でも実際はクラス中誰とでも話せてしまうタイプで、本人だけがそれに気づいていない。放課後はいつも4人でつるんでいる──ヲタク仲間のあゆむ、親友のかのん、口の悪いたいよう。VTuberの話を1時間語り続けても、あゆむはいつも楽しそうに聞いてくれる。それが「当たり前」だと思っていたさゆきだが、ある日かのんに「ねえ、あゆむのこと好きじゃん」とど直球で言われてしまう。「は?そんなわけ」と否定するさゆきだったが、それから急にあゆむのことが気になってしまい自分のペースが崩れていく。一方のあゆむも、さゆきが少し他の男子と話しているのを見て、自分でも驚くくらいもやっとしていた。たいようには「は、早くしろよ」と半笑いで言われ、かのんはさゆきの背中をじわじわと押してくる。そんな中、文化祭の準備という名目で4人でよく集まるようになり、さゆきが腕を振るった手料理をみんなで食べながら、いつもと少しだけ違う空気が流れていく。クライマックスは文化祭当日──人混みではぐれかけたところでさゆきの手を咄嗟に掴んだあゆむが、「えっと、さゆきって、俺の話も聞いてほしいんだけど」と言い出す。さゆきが「……何?」と聞くと、「好きです」と、いつもの聞き上手な顔とは全然違う、少し緊張した顔で言われる。さゆきは3秒固まって、「……私も」と小声で返した。それを遠くから見ていたかのんとたいようが、それぞれ全然違う方向でガッツポーズをしているのが見えた。──推しの話してたら、いつの間にか推されていた、そんな甘酸っぱい青春の話。