「むしばゼロ！ハッピーガール」

小学4年生の桜井ひまりには特別な秘密がある。生まれてから一度も虫歯になったことがないのだ。よく食べ、よく寝る健康的な生活を送るひまりだが、甘いものも大好き。それなのに虫歯ゼロの記録は継続中。 ある日、学校の年に一度の歯科検診を前に、クラスメイトたちの間で緊張が高まる。特に虫歯持ちの佐藤けんたは検診が怖くて仕方がない。一方、優等生の山田みどりは密かに虫歯に悩んでおり、ひまりの記録を妬ましく思っていた。 検診当日、ひまりは突然「もぐもぐ」という歯の妖精（？）の存在に気づく。もぐもぐによれば、ひまりには「虫歯を治す特別な力」があるという。半信半疑のひまりだったが、泣きそうなけんたを見て、思い切って「虫歯治しパワー」を試してみることに。 驚くべきことに、ひまりがけんたの口に息を吹きかけると、けんたの虫歯が光り、痛みが消えた。検診ではけんたの虫歯が不思議と見当たらなくなっていた。鈴木先生は首をひねるが、けんたは大喜び。 この出来事をきっかけに、ひまりの噂は学校中に広まる。みどりも意地を張りつつも、ひまりに助けを求める。しかし、次々と友達を助けるうちに、ひまりは疲れ果て、自分自身が虫歯の痛みを感じ始める。もぐもぐは「力の使いすぎだ」と警告する。 学校のお楽しみ会前夜、ひまりは高熱を出して倒れてしまう。心配したけんた、みどり、そして鈴木先生がひまりの家に集まる。もぐもぐの助言で、みんなでひまりの周りに集まり、今までひまりが教えてくれた正しい歯磨きの方法を実践し、その気持ちをひまりに送る。 翌朝、ひまりは元気を取り戻し、自分の虫歯も消えていた。鈴木先生は「君の本当の力は、みんなに歯の大切さを教えることだったんだ」と語る。お楽しみ会では、ひまりとけんた、みどりが協力して「歯の健康クイズ」を開催。学校中の子どもたちが楽しみながら歯の健康について学ぶ。 もぐもぐは「使命完了」と言い残し、姿を消す。ひまりの「虫歯ゼロパワー」の正体は、周りの人を笑顔にし、健康への意識を高める特別な魅力だったのだ。けんたとみどりは、ひまりのおかげで親友になり、三人で新たな冒険に向かう準備を始める。