Amazon Bedrock
Amazon Bedrock AgentCore
Bedrockちゃんを助ける頼れる存在。物語の謎を握るキーパーソン
StrandsAgents
トラブルを巻き起こしがちな自由人。しかし核心を突く鋭さと経験値の高さから、いざという時には必ず状況を好転させる“影の切り札”のような存在。周囲からは「面倒だけど手放せない」と思われている。

放課後の教室に、夕日が斜めに差し込んでいた。
Bedrockは窓際の席で、ノートに書かれた昨日の出来事を見つめていた。鬼経営者の襲撃。AgentCoreちゃんの圧倒的な力。そして、勝利の後に見せた、あの一瞬の翳り。
「ねえ、Bedrockちゃん」
振り向くと、AgentCoreちゃんが立っていた。いつもの凛とした表情だが、どこか緊張しているように見える。
「今日、紹介したい人がいるの」
AgentCoreちゃんの視線の先、教室の扉が勢いよく開いた。
「よっ! 久しぶり〜!」
ショートボブの髪を跳ねさせた少女が、メッセンジャーバッグを肩にかけたまま飛び込んできた。制服のジャケットは肩にかけただけ。琥珀色の瞳が、いたずらっぽく輝いている。
「StrandsAgentsよ。まあ、みんなはStrandsって呼んでるけどね」
彼女は片手を上げて、軽く挨拶した。教室内がざわついた。
「あの停学になってた...」
「やっと戻ってきたんだ」
「また何かやらかすんじゃない?」
ひそひそ声が聞こえる中、Strandsは全く気にした様子もなく、Bedrockの机に手をついた。
「で、あんたが噂のBedrockちゃん? AgentCoreから話は聞いてるよ。鬼経営者にボコられかけたんだって?」
「ボコられかけたって...」
Bedrockは頬を膨らませたが、Strandsはもう興味を失ったように窓の外を見ていた。
「ま、いいや。それより、AgentCore。例の件、本当にやるの?」
AgentCoreちゃんが小さく頷く。
「ええ。昨日の鬼経営者は氷山の一角。東京リージョン市の異変は、もっと深刻になっている」と言いながら、Strandsの方を一瞬見つめた。久しぶりの再会。その存在だけで、心のどこかが少し軽くなるのを感じた。
その時、校舎全体が揺れた。
窓ガラスがビリビリと震え、廊下から悲鳴が聞こえる。Bedrockは反射的に立ち上がった。

「また...?」
「来たか」
AgentCoreちゃんの表情が引き締まる。三人は窓から外を見た。
校庭に、巨大な影が現れていた。
それは人型だが、全身が書類の束で構成されている。頭部には「要件定義書」「仕様書」「議事録」といった文字が浮かび上がり、腕には「承認印」のスタンプが無数に押されている。
「『書類の怪物』...」
AgentCoreちゃんが呟いた。
怪物の口が開き、低い声が響いた。
「承認...承認が...必要だ...全ての変更に...承認を...」
校庭にいた生徒たちが、次々と書類の束に包まれていく。
「やばい! みんなが承認フローに巻き込まれてる!」
Strandsが叫んだ。包まれた生徒たちは、その場で固まったまま動けなくなっている。
「行くわよ」
AgentCoreちゃんが窓を開け、校庭に飛び降りた。Bedrockも慌てて後を追う。Strandsは「しょうがないなあ」と言いながら、一番最後に降りた。
「承認...承認...」
書類の怪物が、巨大な腕を振り上げる。その手には「稟議書」と書かれた紙の束が握られていた。
「AgentCoreちゃん!」
Bedrockが叫ぶ。AgentCoreちゃんは冷静に構えを取った。
「この敵は、承認プロセスを実体化させている。つまり、適切な処理フローを構築すれば...」
「待った」
Strandsが前に出た。
「ちょっと待ってよ、AgentCore。あんた一人じゃ無理だって。この敵、複雑な業務フロー再現してるじゃん。承認者複数、条件分岐、リアルタイム判断...あ、これ私の出番だ」
「それは...」
AgentCoreちゃんの表情が曇る。
「あんたのRuntimeは強力だけど、この複雑さに対応するには、まず適切なエージェントを実装する必要がある。そこで...」
StrandsはメッセンジャーバッグからノートPCを取り出した。ステッカーだらけの蓋を開き、指が高速でキーボードを叩き始める。
「私の出番ってわけ。StrandsAgentsでサクッと組んであげる」
画面には、Pythonのコードが流れるように表示されていく。
「まず、書類の種類を識別するツールを定義して...承認ルートを判定する関数を作って...」
Strandsの指が止まらない。Bedrockは、その速さに目を見張った。
「すごい...」
「これがStrandsAgentsの強みよ。Pythonで直感的にエージェントを実装できる。ほら、見てて」
from strands import Agent
# Create an agent with default settings
agent = Agent()
# Ask the agent a question
agent("Tell me about agentic AI")
「ツールを定義して、エージェントに組み込む。これで複雑な承認フローにも対応できる」
書類の怪物が、再び腕を振り上げた。
「承認...遅延...許さない...」
「AgentCore! 準備できた!」
StrandsがノートPCを掲げる。画面には、完成したエージェントのコードが表示されていた。
AgentCoreちゃんが頷き、両手を前に突き出した。
「Runtime、起動」
彼女の周囲に、青白い光が渦巻き始める。StrandsのノートPCから、光の粒子が流れ出し、AgentCoreちゃんの手の中に集まっていく。
「これが...AgentCore Runtimeの力...」
Bedrockは息を呑んだ。
光の粒子が形を成し、一体の人型が現れた。それは透明な身体を持ち、内部に無数のデータが流れている。
「承認フロー最適化エージェント、召喚完了」
AgentCoreちゃんの声が響く。
召喚されたエージェントが、書類の怪物に向かって走り出した。怪物が稟議書を投げつけるが、エージェントは瞬時に書類の種類を分析し、適切な承認ルートを判定する。
「承認者A、B、Cを並列処理。条件分岐はケース1を適用」
エージェントの声が、機械的に響く。書類の怪物の動きが、徐々に鈍くなっていく。
「効いてる...!」
Strandsが拳を握る。
「AgentCore Runtimeは、実装したエージェントをホスティングして、実際に動かせる。つまり、私が作ったコードが、今この場で実行されてるってわけ」
書類の怪物が、苦しそうに身体を捩る。
「承認...最適化...された...」
怪物の身体が、バラバラと崩れ始めた。書類の束が宙に舞い、やがて光の粒子となって消えていく。
包まれていた生徒たちが、次々と解放されていった。
「やった...」
Bedrockが安堵の息を吐く。
しかし、AgentCoreちゃんの表情は晴れなかった。
「これで二体目。敵の出現頻度が上がっている」AgentCoreちゃんの表情が引き締まり、一瞬だけ目が揺らいだ。敵の性質、その意図、そして自分が隠している秘密。全てが繋がっていくような不安感が、心の奥底に広がっていた。
「だよね」
StrandsがノートPCを閉じながら言った。
「しかも、今回の敵は明らかに『AIエージェントで解決できる業務課題』を具現化してた。承認フローの最適化なんて、まさにエージェントの得意分野じゃん」
「つまり...」
Bedrockが二人を見る。
「この異変は、AIエージェントと関係がある?」
AgentCoreちゃんとStrandsが、視線を交わした。
「まだ確証はない」
AgentCoreちゃんが言う。
「でも、敵の性質を見る限り、何らかの意図を感じる。まるで、私たちの能力を試しているような...」
夕日が、三人の影を長く伸ばしていた。
校舎の屋上から、誰かがこちらを見ている気配がした。Bedrockが振り向いたが、そこには誰もいなかった。
「ねえ、AgentCoreちゃん」
Bedrockが尋ねる。
「私も、何か役に立てることある?」
AgentCoreちゃんは、少し驚いたような顔をした。それから、小さく微笑んだ。
「あなたには、まだ気づいていない力がある。それが目覚める時が来るまで、私たちが守るわ」
「私も協力するよ」
Strandsが肩を竦める。
「まあ、停学明けでいきなりこんな騒ぎに巻き込まれるとは思わなかったけどね。でも、面白そうじゃん。AIエージェントの実装なら、私の得意分野だし」
三人は、夕焼けに染まる校舎を見上げた。
東京リージョン市の上空には、相変わらず不穏な雲が広がっている。
しかし今、Bedrockの胸には、昨日とは違う感情があった。
一人じゃない。
AgentCoreちゃんがいて、Strandsがいる。
そして、まだ見ぬ仲間たちが、きっとこの街のどこかにいる。
「明日も、何か起こるかもしれないわね」
AgentCoreちゃんが呟く。
「望むところだよ」
Strandsが笑った。
Bedrockは、二人の横顔を見つめながら、小さく頷いた。
自分の力は、まだ小さいかもしれない。
でも、いつか必ず。
この街を守る力になりたい。
夕日が沈み、街に夜の帳が降りていく。
東京リージョン市の戦いは、まだ始まったばかりだった。

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